CDMA方式について

 

  第3世代の移動通信システムであるIMT-2000で扱われているW-CDMA、cdma2000両規格を述べる上で、共通のキーワードであるCDMA、この方式について述べていく。

  CDMA(Code Division Multiple Access)は、日本語で符号分割多重接続であり、無線通信で扱われている方式の1つである。これは、データ等の信号を広い帯域に拡散するための拡散符号を、通信時に各ユーザーに割り当て、複数の通信を同時に実行できる、多重接続を実現した方式である。通信の送信側はこの割り当てられた拡散符号を信号にかけ、受信側は送られてきた信号に同じ拡散符号をかけることにより、相手の情報のみを取り出して、復元することが可能になる。このように、各信号に異なる拡散符号をかけることによって、信号が傍受されにくくなり、複数のユーザーが同時に接続を行えるようになる。また特定の符号を割り当てるということは、通信途中の雑音による影響も少なく済むことになるので、携帯電話のような雑音の多い通信分野では非常にありがたい点である。

  同時に複数の通信を行える多重接続、この方式にはCDMA以外にもFDMA(周波数分割多重接続)、TDMA(時分割多重接続)がある。FDMAは周波数、つまり帯域を分割し、その1つ1つを通信の際に各ユーザーに分け与える方式であり、TDMAは時間を一定間隔に区切っていき(区切られた時間をスロットという)、各々を各ユーザーに分配する方式である。主にFDMAは第1世代、TDMAは第2世代の携帯電話方式に用いられてきた技術である。これらに次いで今扱われ始めているのが、先に述べたCDMA方式である。

  そのCDMA方式を利用した携帯電話規格の1つとして、cdmaOneが挙げられる。これは、PDC(Personal Digital Cellular)方式*1を利用していた第2世代とは異なり、CDMA方式を用いている第3世代への対応が容易になるという点、さらに第2世代よりも高速の通信を実現できるという点も持ち合わせていることから、第2.5世代の携帯電話規格と位置付けられている。

  この規格はCDMAの技術推進団体CDG(CDMA Development Group)によって策定され、この方式を用いた電話cdmaOneは、南北アメリカや韓国、香港、日本などのアジアを中心に多くのユーザーに使用されてきた。また、世界で広く導入されているため、国際ローミング*2を実現しやすいという特徴を持っている。日本では、KDDIのauが、このcdmaOneによる携帯電話サービスを提供している。

  今日の日本では、KDDIはcdmaOneの上位規格であるcdma2000を、ドコモやJフォンなどは同じCDMA方式ではあるが、cdma2000とは異なるW-CDMA規格を利用した開発を進めており、商用サービスもスタートし出している。

 

*1 日本のデジタル携帯電話で扱われているデジタル無線通信方式。世界的なデジタル携帯電話の主流はGSM(Global System for Mobile Communications)である。

*2 契約している通信事業者のサービスを、海外で、その提携事業者の設備を利用することによって、受けられるようにすること。「グローバルパスポート」という名称で実用化されている。

 

文責:伊藤 雄介、武田 匡平、内藤 大介(2003.01.14)